持続可能な資源利用の推進

新興国の経済成長等により、世界全体の資源消費量は更に増加する見込みとなっています。
2015年9月に国連総会で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」では、目標12として「持続可能な生産消費形態を確保する」ことが掲げられました。
2018年度時点では、我が国は、年間13.1億トンの天然資源を消費しており、そのほぼ半分を輸入に依存しています。一方で、一度使用した資源の再生利用は約2.4億トンにとどまっています。

サーキュラーエコノミーの推進

日常生活に根差す大量生産、大量消費は、地球環境に危機を引き起こす主要な要因の一つであり、大量の資源を使い捨てる一方通行型の経済を循環型に切り替えていくことが求められています。
東京都は、循環型社会の構築に向けた取組をさらに加速させるために、2022年4月から公益財団法人東京都環境公社(以下「環境公社」という。)と連携し、東京サーキュラーエコノミー推進センター(設置場所:環境公社)を情報発信・連携拠点として整備するとともに、都民・事業者等が主体的に実践行動に取り組むための具体的な方策・手段等の情報を発信しています。

食品ロスの削減

日本における食品ロスの量は、全国で約570万トン(2019年度)であり、これは国連による食糧援助量である約420万トンの1.4倍に相当する膨大な量です。
都内における食品ロスは、約45.5万トン(2018年度)と推計され、そのうち事業系の食品ロスが約7割を占めています。東京都は、2030年度までに食品ロス半減(2000年度比)の達成に向け、2021年3月に「東京都食品ロス削減推進計画」を策定しました。同計画に基づき、発生抑制(リデュース)に資する、フードテックを活用した食のアップサイクルなどの新たなビジネスモデルの創出や、未利用食品の有効活用等を推進していきます。

廃棄物の循環利用の更なる促進

廃棄物にはまだ再生利用が可能な資源が含まれており、廃棄物のより高度な循環利用に取り組んでいきます。

事業系廃棄物の
3R

オフィスビルや商業店舗等の事業系施設からは、紙くずなどの一般廃棄物のほか、廃プラスチック類などの産業廃棄物が排出されますが、これらは適切に分別することで資源として利用できます。
東京都は、区市町村と連携したオフィスビル等への3Rアドバイザーの派遣や、処理プロセス等の効率化や3R手法の多様化を図るためのモデル事業の実施などにより、事業系廃棄物の3Rを促進していきます。

小型家電
リサイクル

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、携帯電話等の使用済小型家電から抽出したリサイクル金属をメダル製作に役立てる「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」を実施しました。東京都は、より持続可能な社会となるよう、都庁舎に小型家電回収ボックスを設置し、このプロジェクトに協力しました。
今後も、小型家電回収のシステムをレガシーとして残し、更に小型家電リサイクルを進めていきます。

プラスチック対策

プラスチックは、軽い、腐食しないなどの優れた特性があり、私たちの生活の中で広く使用されています。一方で、プラスチック製品の製造から廃棄のすべての段階で、CO2が排出されているほか、海に流れ込み海洋生態系に悪影響を与えることが懸念されています。
東京都は、2019年12月にプラスチック削減プログラムを策定し、CO2排出実質ゼロのプラスチック利用の姿を示すとともに、2030年に向けた廃プラスチック焼却量の削減目標を掲げました。持続可能な資源利用の実現を目指して、多様な取組を推進しています。

使い捨て
プラスチックの
削減

東京都は、使い捨てプラスチックに依存しないリユース・リペア等の好事例の普及啓発や新しい日常での削減行動を促すコンテンツを制作し、様々な機会を捉え、あらゆる主体に行動の加速を呼びかけています。また、オンラインを活用し、海外諸都市や国際機関等と連携しながら、プラスチック循環利用の高度化など、サーキュラーエコノミー実現に向けた情報発信を強化しています。

先進的企業と連携した
イノベーションの創出

東京都は、使い捨てプラスチックの大幅な削減やリユース、水平リサイクルの実装化を推進するため、これまでのプラスチック資源の利用を大きく転換させる革新的な技術又はビジネスモデルに連携して取り組む事業者・団体等を支援しています。
2021年度には、3件の実証事業を開始しました。

①みんなでボトルリサイクルプロジェクト
(花王株式会社、P&Gジャパン合同会社、ユニリーバ・ジャパン、ライオン株式会社)

家庭から出る日用品の使用済みボトルや詰め替えパウチ容器等を東大和市の公共施設等に設置するボックスで回収し、ボトル容器から再びボトル容器に戻す水平リサイクル技術の検証に、大手日用品メーカー4社が連携して取り組んでいます。

②廃プラスチックのリサイクルチェーン構築
(レコテック株式会社)

商業施設から発生するきれいなプラスチックの効率的回収・リサイクル事業「POOL PROJECT TOKYO」を推進しています。

③ドリンク用テイクアウト容器のシェアリングサービス:Re&Go
(NISSHA株式会社、NECソリューションイノベータ株式会社)

コーヒーショップにおけるテイクアウト用リユース容器のシェアリングサービスを推進しています。

プラスチック製容器包装・
製品プラスチックの
分別収集の拡大

家庭から排出される使用済みプラスチックの多くは、容器包装プラスチックです。都内のペットボトル以外の容器包装プラスチックの分別・リサイクルについては、区市町村の取組状況に大きな違いがあります。
また、令和4年4月から「プラスチック資源循環法」が施行され、区市町村は容器包装プラスチックに加え、新たに製品プラスチックも分別・リサイクルすることとなりました。そのため、東京都は、区市町村による容器包装プラスチック・製品プラスチックの分別・リサイクルの導入とその拡大に向けた取組を強力に後押ししています。

ボトル to ボトル
の推進

CO2排出実質ゼロのプラスチックの利用を実現するには、使用済みのプラスチックを元の素材と同等の品質に戻す「水平リサイクル」が欠かせません。
使用済みペットボトルを再びペットボトルの原料として再生利用するボトル to ボトルは、その先駆けとなる取組であることから、東京都は清涼飲料業界とコンソーシアムを設立し、プラスチックの循環的な利用を促進しています。
2021年度に実施した実証実験では、様々な主体と連携した事業の実施により、消費者の分別回収の促進、街中のポイ捨ての抑制などに効果を上げています。

海洋への
プラスチックごみ
流出の防止等

年間480〜1,270万トンのプラスチックが世界の河川等から海洋に流入しており、2050年には海洋中のプラスチックの重量が魚の重量を上回ると言われています。
東京の海に新たなプラスチックごみを流出させないよう、東京の海ごみ問題を都民に広く啓発するとともに、区市町村、NPO、企業等と連携し、海ごみや河川ごみの清掃活動への参加を促していきます。
また、海ごみは、ポイ捨てされたごみだけでなく、街中のごみ集積場からこぼれ落ちたごみなども原因となっています。
こうしたごみの散乱を防止し、できるだけ「ごみを出さない暮らし」に向け、教育機関と連携し、子供たちへの環境学習を進めています。