気候危機行動の加速に向けた共同メッセージ

このメッセージは、「サステナブル・リカバリー:TIME TO ACT~コロナ禍を乗り越え、未来に向けて気候危機行動を加速する~」会議の参加者による、気候危機行動の加速とそのコミットメントについて記載するものである。

新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、我々の社会は一変した。社会・経済の危機からの復興に当たっては、従来通りの状況に戻るものであってはならない。今こそ、パリ協定の目標である世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑える努力を追求し、気候危機という脅威に対し、それぞれが最善の行動をとる必要がある。私たちは、今まさに、未来を決める分岐点にいる。

私たち参加者は、気候危機の脅威を強く認識し、脱炭素化を目指して、実効性ある取組で気候危機行動を加速し、世界をリードしていくことを本会議で確認した。

私たちは、以下のとおり「今まさに行動すべきこと」を表明する。

  • 小池百合子

    東京都知事

    今こそ、行動を加速するとき。東京は、これまで培ってきた経験やノウハウを踏まえ、サステナブル・ビルディング(建築物)「TIME TO ACT for Sustainable Buildings」とグリーン・ハイドロジェン(水素)「TIME TO ACT for Green Hydrogen」のアクションでリーダーシップを発揮するとともに、国際金融都市東京として、世界のグリーン・ファイナンス・マーケットを牽引し、世界の脱炭素化に貢献していきます。

  • アニス・バスウェダン

    ジャカルタ首都特別州知事

    ジャカルタは、「気候レジリエント都市」の実現に取り組んできました。つまりジャカルタは、温室効果ガスの排出を削減するだけでなく、変化する環境に適応するため、レジリエントなコミュニティと都市システムを開発しています。ジャカルタは都市のレジリエンスや強固な連携のため、持続可能なモビリティに向けた先導的な役割を担ってきました。これらの声明を発表することをもって、ジャカルタは、持続可能な回復を実現するため、気候行動において様々な利害関係者や他の都市との協力やサポートに道を開いていきます。(仮訳)

  • マイケル・ブルームバーグ

    ブルームバーグ L.P.創設者 前ニューヨーク市長 国連特使(気候野心・ソリューション) C40 理事⻑

    クリーンエネルギーと気候ソリューションへの投資は、COVID-19からの経済復興を促進し、気候変動と戦う助けとなります。今こそ行動を起こす時であり、都市、企業、そして地域の指導者たちはすでにその道を先導しています。ブルームバーグ財団(Bloomberg Philanthropies)では、日本及び世界中で、ソリューションの共有、野心の向上、クリーンエネルギーへの移行を支援しています。持続可能性を復興計画の中心に置くことで、これまで以上に強力で、グリーンで、レジリエントな方法でパンデミックから立ち直ることができます。(仮訳)

  • エリック・ガルセッティ

    ロサンゼルス市長 C40議長

    気候変動は、私たちの都市、健康、経済にとって実存的脅威です。ロサンゼルスから東京まで、私たちは今、私たちのコミュニティと地球全体に、よりグリーンで、公平な未来を築くために行動しなければなりません。すべての都市は、その大きさにかかわらず、気候行動を起こし、低炭素目標を達成する役割を担っています。私たちの連合は、持続可能性と正義の強力なビジョンを推進するため、戦いを止めることは決してありません。(仮訳)

  • アンヌ・イダルゴ

    パリ市長

    健康危機が私たちの社会を混乱させていますが、その健康危機が環境危機に関連していることを私たちはよく知っています。この2つの課題に同時に取り組むことが必要です。気候正義の実現に向けて、関係者、特に市民の皆さんと一緒に行動する時が来ました。解決策はすでに見つかっています。私たちの考えが及ぶ限り、解決策は主として自然そのものに依拠しています。私たちの世界の素晴らしい調和を維持するためには、気候変動との戦いと地球の生物多様性の保護との相関関係をしっかりと認識することが不可欠です。(仮訳)

  • フィリップ・ヒルデブランド

    ブラックロック副会長

    今、我々金融業界は行動すべき時にあります。我々が資金需給の橋渡しを通じて資本の再配分を促すことで、社会の持続可能な発展を推進すると同時に、それを阻害する活動を抑制する方向へと経済社会の大転換を進めることができるはずです。この道を進むことこそ、より多くの方々が長期的に豊かな生活を送ることができて、投資家もその恩恵を享受できる最適な選択肢であると考えます。

  • 石井菜穂子

    東京大学理事 未来ビジョン研究センター教授 グローバル・コモンズ・センター、ダイレクター

    我々は今環境危機にあります。現行の経済モデルが地球に過大な負荷をかけ、地球は壊れつつあるのです。2050年までに持続可能な未来を達成するには、経済システムの変革が必要で、軌道修正に残された時間は後10年です。都市は気候変動との闘いの中で素晴らしいリーダーシップを発揮してきましたが、今後もスマートなデザインや循環型の追求によって、抜本的なシステム変革に重要な役割を果たしていくべきです。コロナは、健康的でサステナブルで平等な未来への進歩を加速する、空前の機会を都市に提供しています。

  • 河口真理子

    立教大学特任教授 不二製油グループ本社CEO補佐

    気候危機の最中のコロナ禍という未曽有の危機。いずれも人間活動の帰結ともいわれます。だからこそ、危機からの脱出と回復は、私たちの速やかな意識の転換と徹底的な行動にかかっています。地球の恵みに感謝し、人の尊厳が守られる社会を目指して。化石燃料に頼ることなく300年の繁栄を生み出したこの江戸の地から、持続可能な社会への一歩を今踏み出しましょう。

  • デイビッド・ロックフェラーJr.

    ロックフェラー・キャピタル・マネジメント・ディレクター

    スーザン・ロックフェラー

    Musingsmag.com創設者

    ビジネス、社会貢献活動、環境保全活動に携わる地球市民として、今こそ行動を起こす時です。海洋、フードシステム、地球のために、私たちは脱炭素化に向けた取組を全力で支援することを約束します。私たちは、生産性ある農地の所有者、取締役会の役員、慈善団体の理事、また地方選挙や国政選挙で投票をする市民として、我々の行動が炭素排出量の劇的な削減を伴うことを約束します。(仮訳)

  • 竹中平蔵

    慶應義塾大学名誉教授 元国務大臣

    パンデミックは、これまで人類に重要な教訓をもたらして来ました。それは、私たちの社会が持っている弱点を露呈させるということです。今回の新型コロナウイルスによる危機は、テイルリスク(頻繁には起こらないが起こったら大変なことになる)に対する私たちの備えがいかに不十分かを教えました。そして、パンデミック以上に大きなテイルリスクとして、世界は地球環境の破壊に直面しています。今こそ私たちは、気候危機の脅威を強く認識し、脱炭素へ向けて強い決意と行動力を共有せねばなりません。 

  • ナイジェル・トッピング

    COP26ハイレベル気候チャンピオン

    200以上の日本の地方自治体によるネットゼロへの取り組みが生み出した勢いは、日本政府の「2050年までに気候ニュートラルを達成する」という発表の背後にある原動力でした。このことは日本の知事と市長が、2030年までに東京の排出量を半減させるという小池知事の新しい計画に追随し、ネットゼロの野心を具体的な行動に変える自信を与えるはずです。都知事の「TIME TO ACT」イニシアチブはまさに「Race to Zero」の全てです。(仮訳)

  • 吉高まり

    三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 経営企画部副部長 プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト

    人は、遠い未来に起こる危機に対して割り引いて考え、身近な危機である日々の生活の糧を脅かすものに多く注意を払います。気候変動は、すでに身近な危機です。そして、COVID-19が、私たちの価値観を変え、その危機に対し行動をとる必要性を共有する機会を与えてくれています。今、行動しはじめなければ、相当の破壊力を持つものが人間を凌駕するときが訪れます。誰一人取り残さないよう、新しい未来つくりに向かって皆で歩み出しましょう。

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